メッシュシートで風圧力はどう変わる|充実率と風力係数の関係
メッシュシートを張ると風圧力はどう変わるのでしょうか。充実率と風力係数の関係、そして「充実率が高いほど風力係数も比例して上がるわけではない」という遮蔽効果の仕組みを解説します。
メッシュシートで風圧力はどう変わる|充実率と風力係数の関係
「シートを張るかどうかで、そんなに変わるんですか」
仮設計画の打ち合わせで、施工側からよく出る質問です。答えは、変わります。それも、壁つなぎの本数が倍近く違ってくる程度には変わります。
この記事では、養生材の仕様が風圧力にどう効いてくるのかを、充実率という指標から整理します。
1. 充実率とは何か
充実率(φ)は、足場を正面から見たときに、風を遮っている部分がどれだけの割合を占めるかを表す数値です。
- シートのない足場:支柱・布材・ブラケット・床付き布板といった部材だけが風を受ける。隙間だらけなので充実率は小さい
- メッシュシートを張った足場:目は開いているものの、面としてほぼ全体が風を受ける
- 防音パネルや防炎シート:ほぼ密閉状態
同じ足場でも、この数値が変わるだけで作用する力がまったく変わります。
2. 養生材ごとのおおよその区分
| 養生の状態 | 充実率の目安 |
|---|---|
| 養生なし(部材のみ) | 0.1〜0.2 程度 |
| メッシュシート | 0.5〜0.8 程度 |
| 防炎シート・防音シート | 1.0 に近い |
| 防音パネル | 1.0 |
〔要確認:数値は製品カタログの公表値に基づいて記載。仮置きの値です〕
<!--FIG:fig-3-1:図1 養生材による充実率の違い-->
図1 養生材による充実率の違い
重要なのは、メッシュシートといっても製品ごとに目の細かさが違うことです。「メッシュシートだから0.7」と決め打ちせず、採用する製品の公表値を使うのが原則になります。
3. なぜ単純な比例にならないのか
ここが直感に反する部分です。充実率が2倍になっても、風圧力がそのまま2倍になるわけではありません。
足場は前面と背面の二重構造になっています。前面のシートが風を受けると、背面側に届く風は弱まります。この遮蔽効果があるため、充実率と風力係数の関係は単純な比例ではなく、指針の算定式で求めることになります。
〔要確認:風力係数の算定式と、シートの横比による形状補正の扱い〕
<!--FIG:fig-3-2:図2 シート前面による遮蔽効果(平面断面)-->
図2 シート前面による遮蔽効果(平面断面)
また、足場の最上部は建物の上を回り込んだ風が当たるため、一般部より大きな力が作用します。計算書では上層部を分けて扱うのが通常です。
4. 計画段階での実務上の注意
シート仕様が未定のまま計算を始めない
もっとも多い手戻りがこれです。計算書を作り終えたあとで「防音シートに変更になった」と連絡が来ると、風力係数から壁つなぎ配置まで、すべてやり直しになります。
計算に着手する前に、最低限これだけは確定させてください。
- 養生材の種別(メッシュ/防炎/防音)
- 製品名または充実率の値
- 張る範囲(全面か、道路側のみか、上部のみか)
部分的な養生も計算対象
「道路側だけメッシュ、その他は養生なし」という計画はよくあります。この場合、面ごとに条件が違うため、壁つなぎの配置も面ごとに変わります。一律配置にすると、道路側が不足するか、その他が過剰になります。
途中変更は再計算が必要
近隣対応で防音シートを追加する、という判断は現場で起こります。このとき、計算書は元の前提のままです。養生を追加した時点で、その足場は計算書と別のものになっています。
養生仕様の変更は、壁つなぎの追加とセットで検討するものだと、あらかじめ現場と共有しておくのが確実です。
台風時のシート撤去は「計算の前提」ではない
台風接近時に垂直養生材をまくり上げる、という対応があります。これは有効な対策ですが、計算書がその状態を前提にしているわけではありません。
計算はシートが張られた状態で成立している必要があり、シート撤去は計算前提を超える風に対する追加の措置です。この二つを混同すると、「台風のときは外すから大丈夫」という誤った判断につながります。
5. まとめ
- 充実率は、足場が風を遮っている面積の割合
- メッシュシートの有無で風圧力は大きく変わる
- 製品ごとに値が違うため、カタログ値を使う
- 遮蔽効果があるため、充実率と風力係数は単純な比例ではない
- 養生仕様は計算着手前に確定させる
- 途中で養生を追加したら、壁つなぎも再検討する
この記事の計算を実際に試す
壁つなぎの風荷重照査は、ブラウザで入力するだけで自動判定できます。計算根拠付きの計算書をその場で出力可能です。
足場計画図・計算書・工事着手前申請書についてのご相談は、株式会社エヌティーデザインまでお気軽にご相談ください。